飛鳥雛の 7つの特徴

飛鳥雛とは江戸時代から続いた伝統技術の集大成。
伝統工芸士 飯塚孝祥が7つのこだわりを込めて作り上げた雛人形の総称です。

1 唐衣(からきぬ) 本格的な総裏仕立て

十二単衣(ひとえ)には、唐衣を着た後に裳(も)を付ける着方と、裳を付けた上から唐衣を羽織る着方があります。
雛人形では、裳を後から着付けることで唐衣の背の裏地付け等を省いていますが、飛鳥雛は、本来の形式で唐衣全体を総裏作りし、裳の上から着付けることで、従来の雛にはない豪華さを演出しています。

唐衣(からきぬ) 本格的な総裏仕立て
(写真左は一般的な仕立て。右は飯塚孝祥流仕立て)

2 袖の重ね 伝統の於女里(おめり)仕立て

袖の重ね 伝統の於女里(おめり)仕立て

おめりとは「柂(ふき)」の古称であり、袖口の裏地を少しだけ表地に返す(ずらす)仕立て方で、表地・裏地の重ねの色彩効果を高めます。現在でも、袷(あわせ)・留袖等の着物全般に活用されています。
飛鳥雛は伝統のおめり仕立てにこだわり、丁寧に袖の重ねを作り、より一層の美しさを醸し出すよう心掛けています。

3 最高級 桐胴 基本部分へのこだわり

最高級 桐胴 基本部分へのこだわり

雛人形の胴体は、わらを巻いた胴体(芯)で作られています。飛鳥雛は、加工は難しいのですが、防湿・防虫効果に優れた「桐製木胴」で製作しますので、型崩れせず、いつまでも美しい姿を保ちます。

4 一刀彫木手 天然素材と繊細な造形美

一刀彫木手 天然素材と繊細な造形美

一般のお雛様の手はプラスチック製です。飛鳥雛には、熟練した職人が一つ一つ手彫りした木彫の手を、幾重にも塗りあげて使用しています。高度な技術と手間を要しますが、温もりのある美しい手元を表現しています。

5 襪(しとうず)着用足 平安期以降の伝統的な履物

襪(しとうず)着用足 平安期以降の伝統的な履物

古来、沓(くつ)を履くときに用いる布帛(ふはく)の履物です。
一般的には素足のままですが、飛鳥雛のお内裏様は、桐で作った足に一つ一つ丁寧に襪を履かせています。見えないところにこそこだわりを持っています。

6 石帯(せきたい)・魚袋(ぎょたい) 高貴さをまとう気品の証

石帯(せきたい)・魚袋(ぎょたい) 高貴さをまとう気品の証

石帯は、公卿や殿上人にだけ許された、玉(石)を付けた帯。貴族の証しであり、正装の束帯着装に用いられました。魚袋とは、正式な儀式において、位を表わすために石帯の右腰に付ける装身具のことです。石帯と魚袋が、高貴な後姿を彩ります。

7 裾の縫合わせ 特別な技法で最上級の美しさ

袖の重ね 伝統の於女里(おめり)仕立て

ご覧頂きたいのは女雛の裾縫いです。一般の雛人形は三枚仕立てで、上級の雛人形でさえも五~八枚はぎのみで仕立てられます。飛鳥雛は八枚矧ぎに加え、襲ね(かさね)の部分を、48枚もの型を使い、少しずつ寸法を変えて段々に大きく仕上げています。柔らかな姿態と襲ねの色彩効果で、十二単衣の持つ流麗な美しさを演出します。

裾の縫合わせ